優越人種概念の考察

 反ユダヤ主義ってのはどうでもいいような偏見「高利貸しをやっている」とかそういうのだけじゃなくて、ユダヤ教自体が「俺ら唯一神から選ばれた選民だよもん」てな内容なんで、そういう人間が近隣にいたら「それ、ちがわねえ?」みたいなツッコミを入れたくなる人間はどこにでもいるよなあ、みたいな背景はある。前置き終わり。
 まあどこの国(ネイション)でも「自国が優れている」という神話は国民国家という壮大なフィクションを維持する上では必要不可欠なわけではあるのですが。ナチス北朝鮮はそれの行ききった例というだけであって、ああいう風におかしくなる素質は別にどこの国にも多かれ少なかれあると思うのですよ。
 第一次大戦後のドイツは変なものが一杯流行していて、テンニエスの「ゲマインシャフトゲゼルシャフト」とか大ヒットしてるんですが今見ると内容ぐちゃぐちゃっつーかオカルトです。電波です。「なんでそこまで話を進めといて根拠が『民族』になるかな」みたいな。
 まあヨーロッパの神秘主義だのオカルトだのを話していると長くなるので省略。どっちにせよ、選民思想ユダヤ教からキリスト教に変わるときに一旦排除されて(ここはパウロの辣腕さを誉めておくべきか)、その後うっかりカソリック教会でうっかり復活しているわけですが。カルヴァンの予定説とかも選民思想に類縁性があるかもしれないけど、研究したことないのでパス。
 で、ナチズムとかに直接つながる近代選民思想(仮称)は所謂「社会ダーウィニズム」がスタートっぽく思われるわけで。適者生存とか自然淘汰とかの単語に社会的な意味までくっつけてしまうアレですな。
 このあとマルサス人口論だのイギリス帝国主義だの金融資本だのの話が続く予定。「とにかく貴様ら、社会ダーウィニズのヤバさをもっと知るべきだと思います。」とか書いてあるかもしれない。ついうっかり陰謀史観とか信じたくなるぐらい謎領域だったりするし。