本文、自分の場合のポリティカルな文章の例

 古い話になるけれども、11月7日にPeak Magicに掲載された記事に、「有り得ねえ〜3ターン世界の住人たち」ってのが記事がある。(URLはhttp://miyaken.stbbs.net/peakmagic/20031107.html
 内容を簡単に書いておくと、過去に存在した強力なコンボデッキ(Flores風に言うところのEnigma)と、それと似ているPTニューオリンズのデッキを取り上げて、12月1日に発表されるエクテンの禁止カードには何が相応しいのかを考える、といったところである。
 ところで、その記事で最初に紹介されているタイプ1*1のバーニング・デザイアの解説部分に非常に謎な単語があって気になった。該当部分は次のとおり。

皆さんは最近クラシックの世界トーナメントが開催されたのをご存じでしょうか? StarCityGames.com でライブ中継もされ、それなりに盛り上がっていました。その優勝デッキがこれです(ちなみに Koen van der Hulst は生粋のクラシックプレイヤーだそうです)。

 で、少なくとも、「今更クラシックなんて誰も言わねえよ」とか、そういうどうでもいいことを抜きにしたとしても、次のような単純な疑問が出てくる。

  • 「世界トーナメント」って何?
  • 「ライブ中継」って何ぞや?

 まず簡単そうな「ライブ中継」から。これはLive Coverageの「誤訳」じゃねえの? って見当を付けることはできる。なぜ誤訳と言いきってしまうかといえば、実際にgoo辞書で「coverage」を引いても、

n. (保険の)補償範囲, 保険補償額; 報道(範囲); (広告の)分布範囲; 【放送】サービス区域.

 と、どこにも「中継」なんて意味は出てこない。逆に和英の方で「中継」をチェックしてみても、「relay」とか「hookup」しか出てこない。それにLive Coverageって語には、トーナメント会場で記事書いて出来上がったら即アップして、みたいなスタイルだとマジックプレイヤー的了解があると思われるけれども、「ライブ中継」と聞いたときに普通に連想されるのは、(世界選手権のときみたいな)リアルタイムでのストリーミング放送とかの方ではないだろうか?
 で、本題の「世界トーナメント」について。最初見たときは「世界選手権のことか? でも「最近」て書いてあるから違うよなあ?」とか思ったけど、面倒なのでそのままにしておいた。なにせタイプ1の世界は部外者からはよくわからない面が多々あるので、世界規模の大きな大会がmanadrain.com主催とかで行われていたとしても、その情報が耳に入ってない可能性もあるので。ただし、スターシティ大好きっ子の自分の記憶にないってのから考えると、やっぱり明らかにおかしいのはおかしいのだが。
 結論から言うと、その後単純にコメント欄で答のようなものは出ている。


moxsapphire 2003/11/13 20:25

先日のタイプ1の世界選手権(GenConのイベントの一つ)の優勝デッキはサイカトグではないでしょうか?

ソース
http://www.starcitygames.com/php/news/expandevent.php?Article=5456

奥元 2003/11/13 22:47

ご指摘ありがとうございます。
下記の記事と混同しておりました。
http://www.starcitygames.com/php/news/expandnews.php?Article=5784
失礼いたしました。

 「なーんだ、これで一件落着」なんて言うと思ったら大間違いだ
 世界選手権を「世界トーナメント」と書くのが相当問題のある表現だとかそういう枝葉末節は置いとくとしておこう。このコメントだけ見ると、リンク先のスターシティの記事が世界選手権の記事と混同しそうな記事のような印象を受けるかもしれない。
 が、実際にリンク先の「I Told You My Deck Was Good: Using Burning Desire To Win In Castricum!」の冒頭部分を見れば、そんな可能性はまったく存在しないことが分かる。

The monthly Type 1 Tournament in Castricum, The Netherlands: A good place to finally play with Burning Desire in real life. I was able to borrow some cards from a friend so I could almost play the optimal version that I had written about before.

 このように、世界のせの字も出てこない。どう読んでもオランダ(Netherlands)のCastricumで行われた月例トーナメントについて書いてるとしか見えない(そもそも記事のスターシティへの掲載が9月18日付なので、11月7日の記事で「最近」というのはやや無理があるのではとかそういう問題もあるが)。
 ところでmoxsapphire氏がタイプ1に詳しいことは名前からも明白だが、詳しくない人(私も含めて)のために確認しておくと、スターシティのCoverage*2を参照すればわかるように、タイプ1世界選手権は7月末に行われている。月単位で発表日が違っている記事を、どうやって世界選手権の優勝デッキだなどと「混同」できたのか、そのあたりはまったくもって謎だと言わざるを得ない(言うまでもなく、世界選手権の記事からバーニング・デザイアの記事へのリンクが貼られているわけでもないし、バーニング・デザイアの記事をチェックしても、タイプ1世界選手権に関する言及など存在していない)。
 書き手の意図を、悪意に基づいて決め付けるのであれば、「バーニングデザイアを記事で紹介しようと思ったが、ただの地方トーナメントで勝ったデッキと書くのでは収まりがつかないので、勝手に履歴をでっち上げた」と取ることすら可能であろう。なにせ元記事は、デッキリストの出典すら明示してないのだから。

*1:ヴィンテージはタイプ1とタイプ1.5をまとめた表現なので「ヴィンテージのデッキ」と書くと間違いになる気がするのでこう書く

*2:live coverageとは名乗ってない。じゃあ「ライブ中継」の出所はどこだ? って問題も蒸し返されるが、最早どうでもいいのでパス