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 http://d.hatena.ne.jp/cider_kondo/20041109#p6の続き。調査の結果、すげー嘘満載項目だったことが判明。ってゆーかマハン以上。何が原因でそういう勘違いしたのか謎だ。

「英国が1880年代後半に完成させたオーランド級がその始まりといわれる」

 いろいろ調べたがこれを装甲巡洋艦の祖とする資料は一切発見できず。
 週刊ワールドウェポンを見ていると、かなり違うことが「ブレイク級防護巡洋艦」の項目で書かれていた。

イギリスにおける第1世代の装甲巡洋艦は1886〜87年に進水した「オーランド」級で終了した。同クラスは排水量が限られていたうえに、戦艦に優る性能は何も備えていなかった。そこで舷側装甲を撤去して重量を節減した防護巡洋艦が生み出された。

 で、調査した範囲では、「世界最初の装甲巡洋艦」もしくは世界最初の巡洋艦は、1877年竣工のイギリス海軍のシャノン(Shannon*1)か1875年竣工のロシア海軍のゲネラル・アドミラルらしい。(ロシアにMininってのがそれより前にあるっぽいがよくわかんない)

歴史的な流れ

 何がなんだかよく理解できないが、こっちにも正しいと思える部分はほとんどなかった。ついに巡洋艦駆逐艦の違いと進化の歴史を書かなくてはならないときが来たのか? 面倒なので可能な限り避けたいんだけど。

 整理せずに大雑把に書くと帆走海軍戦列艦フリゲート・etc.っていう分類だった。で、そっから蒸気機関が導入されると、なんとなく「蒸気戦列艦」じゃなくて「蒸気フリゲート」って呼んでた。まあ砲甲板が一層しかなかったら、確かに戦列艦と呼ばないのは理解できるけど。そっからさらにフランスのラグロアール(La Gloire)やイギリスのウォリア(Warrior)が装甲を持った艦として登場して、初めて「戦艦」と呼ばれたフネになる。もっともこいつらは本当は戦艦の先祖というよりは巡洋艦の先祖だったりするけど。つまりこうなる。

 装甲のあるなしでこういう分類がなされる。ただまあ、日露戦争までは巨砲のみが決定的な要素じゃなくて、中口径砲で速射ってアプローチも一応あるって思われていた。だったら中口径砲+装甲持ってる装甲巡洋艦でもある程度ミニ戦艦として使えるんじゃないの? って考えで整備されて運用されたのが日露戦争の時の六六艦隊ってことになる。
 進化系統樹としては、防護巡洋艦が後の重巡の先祖。偵察巡洋艦軽巡の先祖。で、装甲巡洋艦巡洋戦艦に進化したけど、これは戦艦が弩級戦艦に進化した、というようなもので実際巡洋戦艦の初期の名称は「戦闘装甲巡洋艦」とか「弩級装甲巡洋艦」だった。
 ドレッドノートの方向性は「単一巨砲搭載・中口径砲の廃止、蒸気タービン、主砲を(なるべく)中央線上に配備して左右両舷に指向できるようにする」で、これで戦艦を革命するとド級戦艦になるし、装甲巡洋艦を革命すると巡洋戦艦になるって考えでいい。
 あと、駆逐艦巡洋艦の違いは、誕生時の定義で言うと「単独行動=巡航できるのがクルーザー、行動に支援が必要なのが駆逐艦」ってことになる。当時は燃料積載量の関係で、航続距離を長くするのがかなり難しかったのだ。その後の蒸気機関の改良とかで、こういう根本的な概念の違いってのは薄くなったんだけど。

*1:マイノータ級シャノンとは別