今日のマジック
やまぐー。が師範の占い独楽について書いていたので、それにかこつけて少し考えてみた。いや反論とかでなく考察の引っかかりぐらいに、ってことなんだけど。
カードアドバンテージ
カードアドバンテージをどうカウントするのかという学派はいろいろある。たぶん一番スタンダードなのはこんな感じ。
- カードがライブラリーから手札に移動すると+1
- カードが手札から墓地に移動すると−1
- カードが手札から場に移動するのは±0
- カードが場から墓地(ライブラリー、ゲーム外含む)に移動すると−1
- カードが場から手札に移動するのは±0
太字部分を−1だとカウントする人が割と多いんだけど、パーマネントとして場に残るものは±0でカウントするのが通例になってる。でないとクリーチャーや土地やクリーチャー除去がカードアドバンテージを失うカードになってしまうとかいう変な計算になってしまうので。
占い独楽のカードアドバンテージ
《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》のゲーム上の機能は以下の3つ。
- 1マナ払ったら場に出るアーティファクト
- 1マナ払ったらライブラリーのトップ3枚を見て並べ替えられる
- タップするとカードを1枚引けるが独楽はライブラリートップに戻る
さて、わざわざやるまでもないかもしれないけど、それぞれの場合のカードアドバンテージを計算しておく。
- カードが1枚手札から場に移動。±0
- カードがゾーン間移動するわけじゃない。±0
- カードが1枚ライブラリーから手札に移動(+1)。カードが1枚場からライブラリーに移動(−1)。差し引き±0
というわけでこのカードはカードアドバンテージに関係しない。「場に出ても戦況に影響を与えないカードは手札から場に出た時に−1とカウントするべきだ」という主張があるかもしれないが、その場合、ドロー能力を起動するとカードアドバンテージを得たことになってしまう。これはこれで妙な計算になってしまうし直感にも反する。そういうわけでこのまま「独楽はカードアドバンテージに影響しない」としておく。
テンポの話
テンポの話は長くなるので省略。要するに「《巨大戦車/Juggernaut(DST)》を《稲妻/Lightning Bolt(4E)》で叩き落す、これがテンポ・アドバンテージだ!」ってだけなんだが、説明しきる自信ないし。まあ大雑把なところだけ。
親和が最強デッキとして存在しているせいで、環境では1マナの価値は史上最高レベルに達している。いまや1マナ支払うだけで、自分のコントロールするパーマネントの数だけクリーチャーのパワーが上がったり、3/2飛行生物が場に出たり、2ドローできたりする世界*1。
まして、2マナなんて払おうものなら、最強生物*2《電結の荒廃者/Arcbound Ravager(DST)》が場に出たり、ライブラリー操作の付録に2点火力/アーティファクト破壊がついて来たり、《頭蓋囲い/Cranial Plating(5DN)》が場に出たり、場にいる全部のクリーチャーに2点ずつ飛んだり、やっぱり2ドローできたりする。
で、独楽をそういう目で見ると、2マナ払ってできることが「ライブラリーの上3枚を並び替える」だけである(2回目以降は1マナでいいが)。テンポを「場に影響を与えるためのマナ効率」と解釈する場合、独楽が優秀ではないのは間違いない。
もっとも、ライブラリー操作をテンポの観点から見るのは意味が薄いところではある。それだったら似たようなカード、例えばミリーの悪知恵とか渦巻く知識とかと比較するのはどうだろうか? これもそれほど意味のあることではない。
環境とパートナー
《ミリーの悪知恵/Mirri's Guile(TE)》
(緑) エンチャント(場)
あなたのアップキープ開始時に、あなたは、あなたのライブラリーのカードを一番上から3枚見てもよい。その後、それらを望む順番で戻す。
独楽は能力起動に1マナが必要になった代わりにドローできるようになったミリーの悪知恵なのは見れば分かる*3。が、強さはそれだけでは分からない。
《強制/Compulsion(TOR)》は生贄にして1ドローできるようになった《精神鍛練/Mental Discipline(UD)》だ。でも、精神鍛練と強制の使用頻度の差は、能力の差というよりは環境(もしくはカードプール)の違いが原因だ。
そういうわけで、仮にみんなが「《Thawing Glaciers(AL)》の適正枚数は3枚か4枚か」を議論しているような環境だったら*4、独楽が使われる可能性は高かったぐらいは言ってもバチは当たるまい。まあ現環境のテンポについてはさっき書いたので省略。
とりあえず現環境での独楽のパートナーとしてどんなカードがあるか考えてみる。要するにライブラリーシャッフルするカードがどのぐらいあるかっってことだけど。オンスロート落ちでフェッチランドが(永遠のドラゴンが)消えてるとかそういう耳にタコができそうな話は省略。構築のデッキに入ってるの見たこと無いカードも省略。
- 土地サーチ系
- その他
- 《魔性の教示者/Diabolic Tutor(8ED)》
- 《加工/Fabricate(MRD)》
- フィフスドーンの各色の標/Beacon
- 《けちな贈り物/Gifts Ungiven(CHK)》
- 占術と書いてあるカード全般
- 《知識の渇望/Thirst for Knowledge(MRD)》
こんなところか。最後二つはシャッフルはしないけど、一応相性がいい(ということになっている)ので入れといた。あと、《歯と爪/Tooth and Nail(MRD)》とか《マイアの保育器/Myr Incubator(MRD)》もシャッフルするけど、そんなもんを解決してるなら普通は勝ってるだろうし。
で、ざっと見たら明らかなように、既存デッキ全部見ても、鉄工所やTnT(歯と爪)なら意味のある枚数入ってそうだけど、それ以外のデッキで噛み合う見込みは低そうに思える。
カードクオリティアドバンテージ
このまま「独楽弱ぃ!」で終わってもいいけどちょっとやまぐーの文章で誤解招きそうなところがあるので補足。
「独楽を起動してライブラリートップを並び替えると不要なカードがライブラリートップに滞留して結局毎ターン起動することになって損だ」って奴。これは常に正しいわけじゃない。
コンボデッキの場合
まあコンボデッキってのは名前のとおりなんで、少々テンポやハンド失っても、コンボを完成させるのがすべてに優先する(青単ドネイトとかHigh Tide MoMaみたいなコントロール型コンボデッキはちょっと事情が違う部分もあるが、基本としては変わらない)。独楽で覗いた3枚の中にコンボパーツがあるなら万事解決、タップで即ドローしてくればいい。《妖術師のガラクタ/Conjurer's Bauble(5DN)》みたいな「1マナで1枚ライブラリーを掘り進む」カードとどっちがいいかは微妙だけど、まあシャッフル手段がもともと入っているなら弱いというほどではなかろう。
状況の変化
「上から3枚見たら1枚しか欲しいカードがなかった」と「3枚中2枚は未来永劫欲しいカードではない」はイコールではない。いや初心者の作った弱いデッキとかならそういうことも起きないとは言えないが、そもそも構築されたデッキに入っている時点でまったく不要なカードなはずはない。
ここら辺が静的に考えてるときの罠であって、例えば土地が2枚で止まっているときに起動してライブラリートップが「土地、《知識の渇望/Thirst for Knowledge(MRD)》、《巻き直し/Rewind(8ED)》」だったら、普通は土地をトップにするだろうけど、残り2枚が不要なわけじゃない。
「場にウルザ地形のうち塔と魔力炉があって、独楽を起動したら上3枚が塔鉱山魔力炉だった」とかでも同じ。「今欲しいカード」と「次のターン以降に欲しいカード」が常に一致しているわけではない。
逆の話
「ライブラリートップ3枚がすべて土地。場に十分な土地はあるのですべて不要なカード。毎ターン独楽に1マナずつ払いつづけている」
こういう状況が存在した場合、独楽は「弱い」ということになるのか?
本当の正解は「それだけでは独楽が弱いという証明にはならない」なのだが、面倒なので省略。ちょっと考えれば分かることだし。
まとめの代わりにツッコミ
http://diarynote.jp/d/60153/20041018.html
まとめ。このカードは場にだしてカードアドバンテージを失い使ってテンポを失うカードだ。確かにずーっと起動してると、ライブラリー操作>カード一枚分の働きプラス序盤のテンポにいつかはなるだろう(それすら俺は怪しいもんだと思ってる)。がその前に俺は二枚目の独楽を引いてくる可能性が高いと思う。
それまで書いてること、大体いけるとは思うんだけど、『確かにずーっと起動してると〜いつかはなるだろう』ってのは間違ってる。少し考えるとわかるけど、シャッフル手段がない場合*5、独楽のメリット(効率)は起動回数が増えるほど下がる。「いつか」は永久にやってこないはず。